「次世代資産としての不動産」の考え方 ー第4回 これからの動向

【連載】「次世代資産としての不動産」の考え方

第4回 これからの動向

前回は「不動産オーナーと管理会社の立ち位置について」のお話をしました。

第4回目は、「これからの動向」についてお話しします。

 

栃木県に絞って解説します!

1)栃木県の総人口の減少

今後、栃木県の総人口は、確実に減少します。ざっと「20年間で約30万人!減少」すると予測されています。

これは、新幹線駅がある那須塩原市(11.8万人)と小山市(16.6万人)を合計した数の28.4万人より多い数字です。

 

2)宇都宮市の人口の減少

宇都宮市の人口も、微減ですが、確実に減少します。「今後20年間で約2.6万人減少と推定されています。

ただし、ここが重要ですが、生産者年齢(15~64歳)で見ると、約4万人(約12%)の減少となっています!

 

3)高齢化

宇都宮市の生産者年齢が、今後20年間で約31.6万→27.6万人へ減少!します。 

それはつまり、「給料をもらって、住宅を購入したり、賃借したりする人のボリュームゾーン」の割合が、約4万人(現在の人口比で約8%)減少する!ということを意味します。 ※4万人は壬生町の人口とほぼ同等。

 

4)空き家率と賃料の下落

宇都宮市の空き家は約4万戸、空き家率で15.9%(全国平均13.5%より高い)です。

※賃貸住宅では全国平均空き家率18.8%というデータもあります。(株式会社価値総合研究所データより)

約4万戸の内、賃貸用が27,800戸で、市内の25~29歳人口(約2.9万人)とほぼ同じ!

平均6戸に1戸は「空き家」、空き家率が16%を超えたら賃貸経営の偏差値50以下

 

宇都宮市の空き家率

平成 25 年の「住宅・土地統計調査」によると、空き家は昭和 58 年以降増加を続け、平成 25 年で は 39,800 戸となっています。 空き家率(総住宅数に占める空き家の割合合)は、平成 10 年に初めて 10%を超え、平成 25 年は 15.9% で全国平均の 13.5%を上回る状態となっていますが、その内訳を見ると「賃貸用の住宅」が 27,800 戸、「売却用の住宅」が 850 戸で、住宅市場で流通する空き家が全体の 72%を占めています。

※平成29年 宇都宮市空き家対策(素案)より抜粋

 

国交省が行った「賃貸住宅市場の実態について」調査(H24年データが最新)によると、共同住宅の賃料指数について、平成17年(2005年)を100とした場合、平成24年(2012年)での関東圏の指数は、約96です。これを「家賃下落率」に換算すると、毎年約0.6%ずつ賃料が減少した、ということに相当します。

さらに、現在の不動産投資用のシミュレーションでは、「家賃下落率」を(エリアや物件にもよりますが)年率1%程度で見込むことが一般的となっています。

※下落率「年率1%」は、10年で約10.5%、20年で22%のマイナスに相当します。

家賃下落率については、東京圏や全国平均等のデータは多いのですが、北関東に関する資料は少ないので、また別の機会に、深く取り上げたいと思います。

 

※補足 宇都宮市の転入・転出人口とも、ここ10年は概ね2万人内外で、社会増減数は、マイナス600人台~プラス1200人台を維持しています。

 

以上から考えられる「これからの動向」ポイント

・住宅を必要とする人は、確実に減る。

→総人口の絶対数が減少するから

・給与から家賃を払う人も、確実に減る。

→生産者人口が減少するから ≒ 年金や預貯金から賃料を払う人の割合が増える

・家賃収入の単価は、確実に低下する。

→空き家率増加、個人所得伸び悩み、人口減により、経年での賃料減額は不可避

・不動産賃貸管理会社は淘汰・選別される。

→ITでの集客・情報発信の術がない古い体質の会社や、経験値が浅い若年者中心のコンサルティング能力不足の営業至上主義の会社は、これから先厳しい

・建売や不動産分譲業者と激しく競合する。

→住宅を供給しているのは、アパマンオーナーだけではないから

 

※今はまだ、アパマン入居者に「家賃並の支払いで家が買える」程度の営業が中心だとしても、今後は、アパマン入居希望者に直接、建売中古住宅の購入を勧めてくる可能性も高くなります。(賃貸客に回さず、購入客に誘導する) 特に、ローコスト新築建売住宅の売却攻勢は一層激しくなり、不動産会社も賃貸仲介より売買仲介の方が収入がよいので、管理業務を主体としていない不動産会社なら、建売住宅売買仲介に方向性を変えてくる可能性は高いです。

 

まとめ

土地や建物があるから賃料が得られる時代は終わりました。
家賃を払う人が居てくれるから、賃料収入が得られる

     ↓

土地建物だけではなく、そこに居る人こそ資産の時代

 

 

次回は「第5回 今後の入居者管理への第一歩」についてお話しします。

 

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投稿者プロフィール

菅野 武
菅野 武一級建築士
栃木県を起点に、北関東から福島県まで、建物調査診断や各種施設の法令点検・維持管理を通じて、既存建物の活用や保守・運用の提案と管理業務を行っています。業務でのご相談もお気軽にどうぞ。

一級建築士・既存住宅状況調査技術者・JSHI公認ホームインスペクター・建築物石綿含有建材調査者・古民家鑑定士・雨漏り診断士・建築物環境衛生管理技術者・耐震診断技術者・FLAT35適合証明技術者・日本不動産仲裁機構ADRセンター調停人

とちぎ住宅診断サービス/有限会社レーベンデザイン代表
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