適合証明には少なくとも2つある?!
制度自体が少し複雑なので、簡単にご説明
まず「適合証明」と略して呼ばれることの多い書類には、
① フラット35適合証明書
② 耐震基準適合証明書
この2つがあります。
※①は「フラット」、②は「耐震証明」と省略して言うお客さまもいらっしゃいます。
① フラット35適合証明書
①はフラット35融資を行う際に、金融機関が必要とする書類です。
フラット35は固定金利が続くことで有名な融資ですね。
民間金融機関が窓口になって、住宅金融支援機構と提携して融資する制度です。
金利が優遇されるフラット35Sもあります。35も35Sも、適用可能かどうかの判断は、書類だけでなく、現地調査を必ず行います。
当社では、フラット35または35Sの基準をクリアした「中古住宅」あるいは「中古マンション」について、適合証明書を発行します。
② 耐震基準適合証明書
②は新耐震基準(特に木造住宅の場合、建築基準法が改正された2000年の基準)に建物が適合しているかどうかの証明書です。
木造の戸建住宅の場合は、耐震計算アプリを使用して耐震の数値等を計算します。
マンションの場合、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)がほとんどなので(ざっくりとですが)、アプリではなく、一から耐震計算が必要です。
残念ながら、簡易な計算方法はありません。
マンションの規模(階数、戸数など)によっては、耐震計算をして耐震基準に適合しているかどうかを計算判断する費用は数百万円程度かかります。特別な場合を除いて、あまり現実的ではないです。
マンション購入時、利用可能な制度は?
フラット35融資を使う
当社では中古マンションのフラット35適合証明書を承っております。
そのほか、お得な減税手続きを利用する
それでは、マンションを購入する際に使える減税をみていきましょう。
最初に築年数をチェック
中古マンションをご購入の際は、まず築年数をご確認ください。
通常、木造の分譲マンションはあまり見受けられないので、RC造やSRC造(耐火建築物)であれば、築25年を超えている場合、税の軽減措置を受けるには、別途書類が必要になります。
必要な書類は?
「耐震基準適合証明書」または、既存住宅(中古住宅)瑕疵保険の「保険付保証明書」が必要です。
マンションの場合、耐震基準適合証明書は費用が高くおすすめしません(RC造の耐震計算は当社でも承っております)。
瑕疵保険に加入して、保険付保証明書(略して、付保証明書)を取得【4通もらえます】すると、各種減税手続きに使用できます。
当社では、中古マンションの瑕疵保険検査および加入手続きを承っております。
利用可能な減税の種類は?
- 住宅ローン減税
- 登録免許税 軽減
- 不動産取得税 軽減
- 相続時精算課税選択の特例
保険付保証明書が必要なタイミングは?
◯ 住宅ローン減税
マンションを住宅ローンでご購入した翌年の確定申告時に、付保証明書を添付します。(そのほか必要な添付書類は別途ご確認ください。)
◯ 登録免許税 軽減
マンション売買代金を決済して引渡を受ける際、登記を担当する司法書士に付保証明書を渡します。
◯ 不動産取得税 軽減
遅くとも、不動産の所在する都道府県税事務所から納税通知が届いた際、「不動産取得税課税標準の特例適用申告書」と一緒に付保証明書を都道府県税事務所に提出します。
※物件の築年数や面積により税額が異なります。税額が0の場合、納税通知は来ません。詳細は、不動産の所在する都道府県税事務所へご確認ください。
◯ 相続時精算課税選択の特例
贈与により、父母または祖父母からお金をもらって、住宅購入費用に充てた場合、贈与を受けた年の翌年の申告時に、付保証明書を添付して税務署に提出します。(そのほか必要な添付書類は別途ご確認ください。)
【参考】国税庁のHP https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4503.htm
マンション調査にあたって重要なポイント
実際に、フラット35適合証明や既存住宅瑕疵保険のための現地調査に伺う際は、以下の書類が必要です。
必要な書類
中古マンションご購入に際して、フラット35適合証明書も既存住宅瑕疵保険もこちらの書類が必要となります。
① 建築確認申請書類・完了検査書類
② 図面一式
③ 管理規約
④ 長期修繕計画書
管理組合がきちんと機能している分譲マンションでは、上記書類は必ずあります。
ただし、共有の貴重な書類であるため、個別貸出をしていないケース(特に①建築確認申請書類・完了検査書類、②図面一式)も多いです。そのような場合は、現地調査時に確認します。(通常、中古分譲マンション以外の場合では、事前にご用意いただいて、調査前に確認しておきます。)
注)調査の結果、それぞれ基準に満たない場合は、フラット35適合証明書、また瑕疵保険加入・付保証明書について、発行ができませんのでご了承ください。
こんな場合は、発注をおすすめしません
上記必要書類がそもそも存在しないマンションの場合、フラット35適合証明書の取得も瑕疵保険の加入も難しいと考えられます。ルールや保守管理計画が無いということは、建物のコンディションも管理状況も、それに見合うレベルの状態であると推測できるのです。
現地調査に赴くとその時点で、調査費用が発生してしまうため、上記必要書類があるかどうか、事前にお調べくださることをおすすめします。
そして、それらの書類が無い、というときは、フラット35適合証明書も瑕疵保険についても発注を考え直したほうがよいかもしれません。
分譲マンションの場合、専有部だけではなく、共用部や共有部があり、その部分をどう保守管理していくかが、建物の耐久性や金銭的な価値を大きく左右します。
購入する場合は、そのマンションの管理組合が「管理規約」や「長期修繕計画(書)」を作って、計画的に運営を実行しているかどうかが重要です。
いずれも無いマンションの場合、購入時の価格はもしかしたら低めですむかもしれませんが、裏を返せば、フラット35や瑕疵保険の基準は充たしていないことが多いと考えておいたほうがよいと思います。