【連載】不動産の建物管理の考え方について その①

前回、不動産の建物管理の考え方について その①-前編「建てる目的?」では、事業用建物を建てる(所有する)目的について解説しました。[後編]では、建物の寿命についてお話しします。

建物の「寿命」を分類すると

建物の寿命は、基本的に下記の5つに分類されます。

  • Ⅰ 物理的な寿命
  • Ⅱ 社会資本(公共材)としての寿命
  • Ⅲ 商品価値としての寿命
  • Ⅳ 課税資産価値としての寿命
  • Ⅴ 収益資産価値としての寿命

 

Ⅰ 物理的な寿命

物理的な寿命とは、経年損耗や破損などで実用上の使用に耐えない状態のことをいいます。倒壊や落下などの危険性が生じてしまった建物などを指します。
人間で言えば「老衰」の状態です。

もちろん、構造や工法、メンテナンスの状態にもよりますが、物理的な寿命についていうと、標準的な木造で 40~70年程度、鉄筋コンクリート造では 60~120年程度ではないかと一般的には言われています。これについては諸説あるので、断定はできませんが。

※木造住宅の「寿命27年」説の根拠は、「取り壊した住宅の平均築年数」であり、本来の物理的な寿命とは異なります。
同じく「寿命30年」説の根拠は、「現存する住宅数を新築数で割ったもの」で、いわゆる「建替えサイクル年数」です。
マンションの「寿命37年」説の根拠は、「建て替えをしたマンションの平均築年数」を基にしています。
        
実際には、大多数の建物は「物理的寿命」(使用に耐えない状態になる)の前に建て替えられていることが多いのです。

 

Ⅱ 社会資本(公共材)としての寿命

  • 都市計画や道路拡幅、街区整理などによる移転や解体
  •     ・・・公益性・公共性が優先される
  • 廃集落、過疎化、被災、インフラ喪失などの、包括的エリアでの利用者の喪失
  •     ・・・限界集落、広域災害、交通インフラ撤退など
  • 法改正や社会環境の変化で適法・合法ではなくなる、安全性を失う
  •     ・・・アスベスト問題や耐震基準不足など

人間で言えば「事故死」「病死」。
 
所有者の単独の事情では対処しきれない「外因での寿命」です。

 

Ⅲ 商品価値としての寿命

利用者ニーズの変化、経年や損耗などによる競争力・商品力の低下、立地メリットや経済合理性の喪失などを理由に、 
商品としての価値基準は多種類持っているが、ニーズや顧客を失い「経済的に」回復が困難な建物を指します。

事業用物件の寿命は、この要因が最も多いと思われます。 
人間で言えば「リストラ」。厳密には寿命とは言えないですが、厳しい状況にあります。

 

Ⅳ 課税資産価値としての寿命

いわゆる「固定資産税評価額」としての意味合いでの寿命ですが、資金借入時における担保力とも連動します。

立地や需要による評価アップがなければ、基本的には経年とともに償却していきます。
償却が終了した時点が、いわゆる課税評価での「資産寿命=減価償却による耐用年数」となります。

建物の用途や仕様にもよりますが、
木造 11~24年、鉄骨造 15~38年、鉄筋コンクリート造 31~50年です。

人間で言えば「定年」「後期高齢者」などの社会的な区分にあたるでしょうか。

 

Ⅴ 収益資産価値としての寿命

一方、建物が古くなっても、収益力を維持していれば資産寿命は延ばせます。これを「収益寿命」といいます。

現役で収入を上げ続けられれば、利回り物件として「収益資産」としての価値は維持することができます。

人間で言えば「健康寿命」「現役シルバー人材」。

 

建物の維持管理業務とは、

人間で言えば「健康でしっかり稼ぐ状態を継続する」のに必要な手当や診断が、建物の維持管理業務となります。

ただし相続対策が関係すると、若干、手法や手段、目的が変わってきます。

具体的な内容は次回に。

 

Pocket