【連載】不動産の建物管理の考え方について その①

はじめに、不動産経営を行うときに大切な『建物の維持・保守管理』について

ファシリティマネジメント(FM)とは、「企業・団体等が組織活動のために、施設とその環境を総合的に企画、管理、活用する経営活動」のことです。

ファシリティ(土地、建物、構築物、設備等)すべてを経営にとって最適な状態(コスト最小、効果最大)で保有し、賃借し、使用し、運営し、維持するための総合的な経営活動です。

(公益社団法人 日本ファシリティマネジメント推進協会HPより抜粋)

要約すると、事業用不動産(土地・建物・設備など)のすべてを、不動産経営にとっての最適な状態(すなわち、最小のコストで最大の効果を生む状態)で保有、運営、維持するための総合的な管理手法を「ファシリティ・マネジメント」といいます。

※ファシリティ・マネジメント(略称:FM)は、アメリカで生まれた新しい経営管理方式。
企業や官公庁、営利・非営利を問わず、業務遂行において不動産を利用する組織を対象とした施設の管理・運用手法である。
また企業が保有・管理するすべての施設を対象として、竣工後(土地は取得、建物は施工、設備は設置の後)これらをうまく使っていくために必要なあらゆるマネジメント、経営的視点に立って建築物等のファシリティを有効・適切に計画・運営・管理し、ダイナミックな企業活動の展開に貢献する全体的な取組みを言う。
「施設管理」とも訳される事があるが、この訳だと「建物や設備を現状に維持管理すること」など、FMの一部の業務だけに限定してとられ易く適訳とは言えない。 (Wikipediaより抜粋)

もともとは、都市部のオフィスビル・事業用賃貸物件などを所有する企業や、建物の維持管理・運営会社などが行う業務ですが、上記の「企業」を「事業者」と置き換えれば、アパマンオーナー(賃貸経営者)として、極めて重要な取り組み・手法となります。

本来は、事業用建物・施設の企画、建設の段階からマネジメントが始まりますが、今回は「建物(施設)」の維持・保守管理について、少しお話ししたいと思います。

 

その前に、あなたにとって、建てる「目的」は何ですか?

目的とは 例えば、

事業用物件を建てる(または所有する)目的は、下に掲げるⅠからⅣの項目のどれか、またはいくつかを組み合わせたものが、ほとんどのケースに当てはまるかと思いますが、いかがですか?

目的
  • Ⅰ 投資      ・・・自己資金や借入資金を投入して得る利益、不労所得など
  • Ⅱ 節税      ・・・固定資産税対策や相続税対策
  • Ⅲ ※資産の置換え ・・・現金の不動産化、または不動産の現金化(ある意味、投資や税金対策ともいえます)※所有期間軸/権利軸の変更(≒流動性に対抗する拘束力)
  • Ⅳ 趣味・道楽・見栄・・・(残念ながら、ここでは取り上げません)

この4つ?となりますが、究極の目的は「現金収入を増やす」「資産への課税を減額する」に行き着くと思います。

例えば、サラリーマン大家さんや投資家の場合では「Ⅰ投資」が主たる目的で、

もともとは農家の、市街化区域内の地主さんならば「Ⅱ節税」目的を中心として、「Ⅰ投資」と「Ⅲ資産の置換え」とのミックスバランスが目的となるのではないかと思います。

 

押さえないといけない基本原則は

  • 「Ⅰ投資」の場合・・・投下した金額以上に(定期的または総額としての)リターン、見返り、戻ってくるもの、つまり利益があること
  • 「Ⅱ節税」の場合・・・投下損失金額より、支払い税額の方が大きいこと
  • 「Ⅲ資産の置換え」の場合・・・流動性よりも拘束(固定)力の方で、経済的メリットが大きいこと

アパート・マンションなどの投資や資産活用事業は、多くの場合、委託先業者によって手法や制度がパッケージ化されているので、事業者自らが基本原則に則って計画について算定しなくても、業者が自社の基準で(勝手に)事業計画書を提出してくることがしばしばではないですか?これがほかの一般的な起業や創業の場合なら「事業計画書は自分で作る」のが当たり前なのですが。

賃貸事業を別の視点で見ると、ハウスメーカーや不動産会社・建設会社による、オーナーFC事業という一面もあることを念頭において、これからの事業戦略を考えていくことが大切です。

あなたが、現在、所有している物件の本来の目的は何ですか?

この機会に、目的Ⅰ~Ⅳの比率を自己分析してみましょう。

 

次回は、不動産の建物管理の考え方について その①-後編をお話しします。

投稿者プロフィール

菅野 武
菅野 武一級建築士
栃木県を起点に、北関東から福島県まで、建物調査診断や各種施設の法令点検・維持管理を通じて、既存建物の活用や保守・運用の提案と管理業務を行っています。業務でのご相談もお気軽にどうぞ。

一級建築士・既存住宅状況調査技術者・JSHI公認ホームインスペクター・建築物石綿含有建材調査者・古民家鑑定士・雨漏り診断士・建築物環境衛生管理技術者・耐震診断技術者・FLAT35適合証明技術者・日本不動産仲裁機構ADRセンター調停人

とちぎ住宅診断サービス/有限会社レーベンデザイン代表
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