調査のときの「確認」って何を確認しているの?
先日、お客さまに報告書を送ったときの出来事です。
当社では速報として、新築工事中の現地にて写真を撮り、コメントを付けてお客さまに送っています。
最終的な報告書は、全調査項目を総集し、分かりやすく内容を整理し、製本してお渡しするのが常ですが、まずは速報をお送りしています。その速報の中の私のコメントについて、お客さまから質問を受けました。
コメント欄に「確認しました」とありますが、これは「図面通りに施工されていることを確認しました」の意味で受け取ってよいのですか?との質問でした。
ひとくちに「確認」と言っても、何のことかわからないですね。全くもって紛らわしい記載をしたと思い、お詫びかたがた下記のようなご説明をしたので、この機会にここでアップしておきます。
すべての内容が図面に記載されている、、、わけではない!?
一瞬聞くと、えっ?と思うかもしれませんが、すべての施工に関する内容が図面に網羅されているわけではないんです。なので、大工さんによっては、自身の解釈で施工方法を考え施工したり!します。だから現場監督や私のような第三者の監理者が必要なんですね。
と書いていくと話がそれてしまいますので、「確認しました」の深~い意味に戻りたいと思います。
確認の種類は大きく分けて4つ
当社では、大きく次の4つの段階で現場をチェックしています。
1)図面に仕様や位置・寸法などの記載があるもの
これは、コンクリート部の基礎や柱・梁材の位置・寸法、断熱材の厚みなどの構造強度や断熱性能等、法令や性能の基準をクリアする必要があり、図面に記載がされている項目についてのチェックです。
実質的な「検査」のレベルになります。
この確認では、(最新の)図面と現地施工状況の整合チェックをします。確認の結果、もし不整合だった場合は、役所等の検査においても「不適」と指摘が入る項目、そういったものが、調査の中心となります。
図面と見比べながら、現地で寸法や位置をチェック(マーキング)していきます。
2)図面に(詳細な)記載はないが、メーカーや国などで基準が決まっているもの
これは、メーカーでの技術基準や認定された材料の使用など、図面に記載がなくても、図面以外からその施工方法を把握できるものについてのチェックです。
たとえば、構造補強用の金物や断熱材、防水下地材の取付の仕方、サッシの取付方法など、各メーカーで施工要領書や指定工法などについて、国交省の大臣認定を取っていることが多く、規定の箇所と寸法が正しく設置されているか、等を現場で確認します。
工事が進むと、内装工事、設備工事も入ってきますが、概ねこの確認方法の対象となるものが中心になるかと思います。
3)図面に記載がなく、現場での施工上のレベルのもの
これは、一般的な施工レベル上の問題(抜け、忘れ、雑、不可抗力による不具合など)のチェックです。
現場の職人さんが通常の作業レベルの中で、きちんと施工しているか?この施工の仕方で後日問題にならないか?などをチェックしています。
たとえば、実際にあった基礎コンクリートの欠損や木片の混入などがこれらに該当します。
木工事(建て方)以降は、主に構造部分と屋根の防水下地工事、その後は断熱材や配線配管など 壁内に埋設されて、竣工後に確認することが困難な箇所の施工が中心になります。
見落としや死角が発生しないよう、かつ現場の進行にも支障を与えないよう、作業の進捗を勘案しながら現地で目視確認をしていきます。
万一、不適・指摘事項が出た場合は、お客さまへ即確認と報告をします。
4)工務店独自の施工によるもの
これは、一般的な施工方法とは異なる、そのメーカー独自の工法や仕様などをチェックする作業になります。
構造や設備、内外装など一般的な工法のみの場合は、この項目の対象にはならないかと思います。
しいていえば、高断熱高気密の工法については、各メーカーさんの独自色が出やすい部分なので、もし不明な点があれば、随時施工会社に内容を確認し、適切に施工されているかどうかをチェックします。
以上大まかな「確認」の種類と分類方法でした。
今後も当社の報告書では、チェックの結果だけではなく、背景や理由、状態なども含め、可能な限りわかりやすく表記することを心がけていきます。