図面が無くても、倉庫の床の耐荷重を調べることはできますか?

倉庫として使用する場合の床の耐荷重について、お問合せがありました。

建物の詳細や概要が不明なので、あくまでも一般的な範囲になりますが、次のようにご返信しました。

 

床の荷重とは

建物の床の耐荷重については、その「建物の用途」や「設計する各部位」に応じて、建築基準法でその基準が定められています。そして、その基準の荷重に耐えられるよう、構造計算により設計・施工されます。

 

耐荷重の具体的な数値は

一般的な「床面」の耐荷重(法令上は積載荷重と呼びます)は、

住宅:約180kg/㎡

事務室や店舗の売り場など:約290kg/㎡

となっています。

※現在は国際単位なので、kg/㎡ではなくN(ニュートン)/㎡となります。

 便宜上わかりやすくするためにkg単位で表記しています。

 また「床面」以外に「梁」などの構造部材では、別の数値で算定します。

 

倉庫の場合は

倉庫については、若干規定が異なりますが、実際の積載物の重量、または約390kg/㎡を基準として設計されることが一般的です。

ただし倉庫の場合、「一般的な倉庫」と「倉庫業を営む倉庫」では、設計上の基準が異なります。

これらの区分は、設計段階(建築確認申請時まで)で既に確定しておかなくてはいけない内容なので、倉庫として構造設計していれば、必ず新築時の設計図面や確認申請書類に、定められた用途の記載がされています。

 

倉庫として設計されていないときは?または不明なとき?

構造上、倉庫として設計していない(事務所や店舗建物の一部にある倉庫・物置程度の)場合は、倉庫ではなく、事務所や店舗程度の耐荷重で構造計算されているのが一般的だと思います。

まずは、当初の用途が何で設計されているか(事務所・店舗なのか、あるいは、倉庫なのか)を調べることが必須になってきます。

設計時の用途については、所轄の役所の建築指導課で、確認申請の記録(建築計画概要書または台帳等)を調べると判断できると思います。

 

設計者や工務店に聞く方法も

耐荷重については、設計図面(構造計算書)や確認申請書類で調べるのが最も確実な方法ですが、それらがない場合は、設計した会社や施工した建設業者に、書類の閲覧を依頼するという方法もあります。

(役所では、設計図書は決められた期間しか保管せず、仮に保存していても、個人情報保護のため、閲覧には応じないと思います。)

ただ残念ながら各業者においても、法令上の書類の保管期限が過ぎると廃棄してしまい、築年数がそれ以上経過している場合は、資料が残っていないことも多くあります。

 

図面や書類が手もとに無いときは

図面や書類がまったく残っていない場合は、現地調査の上、現況図面を作成して、構造シミュレーションをかけ、耐荷重を算定することも理論上可能ではあります。

ただしこの場合は、仕上げ材に隠れた柱や梁などの実際の構造部材の目視確認が必要となります。

また目視確認に伴い、要所要所での内外装材の撤去や復旧(破壊調査)、埋設されている箇所の超音波や赤外線による探査(非破壊調査)などの作業が必要となることも多く、調査確認の費用は相当な額になります。

調査単体で考えると、実際の費用対効果は、かなり低くなると思います。

 

手始めに必要なことをまとめると

  1. 現状の建物の建築計画概要書を取得して、建物の(構造的な)概要について確認する。
  2. 実際に設置する荷物の重量や置き方から、㎡あたりの荷重を算定する。
  3. この㎡あたりの荷重が、建物の設計荷重以下かどうか確認する。

以上の方法で、まずは見当をつけるのが、現実的な一次対応かと思います。

 

もし、㎡あたりの荷重を超える状態であれば、何らかの補強や対応が必要になるので、その場合は、設計や工事を前提に、具体的な検討を進める流れになります。

 

荷重について不安に思っている方

以上は、あくまでも一般的な内容になります。

詳細な資料等をご提示くださると、より詳しいご説明でご理解が進むと思いますので、お気軽にご相談ください。

 

 

投稿者プロフィール

菅野 武
菅野 武一級建築士
栃木県を起点に、北関東から福島県まで、建物調査診断や各種施設の法令点検・維持管理を通じて、既存建物の活用や保守・運用の提案と管理業務を行っています。業務でのご相談もお気軽にどうぞ。

一級建築士・既存住宅状況調査技術者・JSHI公認ホームインスペクター・建築物石綿含有建材調査者・古民家鑑定士・雨漏り診断士・建築物環境衛生管理技術者・耐震診断技術者・FLAT35適合証明技術者・日本不動産仲裁機構ADRセンター調停人

とちぎ住宅診断サービス/有限会社レーベンデザイン代表
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