基礎コンクリートに埋め込んだアンカーボルトの錆びが心配
以前ご相談のあったお客さまから、別の件でご質問をもらいました。
「基礎工事終了後、事情により長期間雨晒しになったアンカーボルトとコンクリートの境界部分が錆びました。施工業者の見解は、基礎工事の際にアンカーボルトを固定していたネジのもらい錆びだろう、ということです。錆落としのために、ナイロンブラシでこすったらきれいに取れたので、そのまま工事を進めることになりました。」
アンカーボルト全体にクロメート処理をしてあるのであれば、特に清掃洗浄で表面を傷めていなければ、亜鉛メッキ面はコンクリートに触れていないと思います。
亜鉛とコンクリートの接触による発錆については、いろいろ研究成果や論文も出ています。
絶対に発錆しないということはないようですが、少なくともメッキ未処理のものに比べて、圧倒的にサビにくいことは事実のようです。
また発錆はコンクリートの塩分濃度にも影響されるようです。
もらいサビ?それとも重大問題になるサビ?
「この錆びは、実はもらい錆びではなく、コンクリートの強アルカリと亜鉛が反応してできた錆びではないですか?」
一般的な亜鉛メッキのアンカーボルトに関しては、雨水への曝露時間が増えると、もらい錆びが出てしまうことはあります。
錆びが出た場合は錆落としの上、個別に状態を確認して判断するので、進行していれば、何らかの方法で交換するか、アンカーボルトの増設。軽微であれば、錆落とし+防錆処理、という感じでしょうか。
ブラシでこすると、アンカーボルトの表面は削られてなくなるか?
「亜鉛鉄合金メッキの上にクロメート処理をしたアンカーボルトをナイロンブラシでこすると、クロメートや亜鉛鉄合金メッキを削ってしまわないですか?」
メッキ済みの既製品であれば、手作業によるナイロンブラシ程度なら、ナイロンの方がメッキ表面より硬度が低いので、通常は問題ないと思います。
ただし、メッキ風の塗料の場合や、真鍮やステンレスブラシの使用、機械による研磨等であれば、アンカーボルトへの影響は、考えられます。
錆びによる悪影響は?
「この錆びをナイロンブラシでこすり、錆止め等をしないまま工事を進めた場合、アンカーボルトの錆びによる悪影響はありませんか?」
これについては、錆びの箇所と程度によると思います。
古い物件では、アンカーボルトが錆びているケースも割とありますが、中期、長期、超長期間で考えた場合、アンカーボルト以外にも、建物の金属部でサビ劣化が進む箇所(外部金物など)は多数あります。
また、地盤付近や床下の湿度・通風環境にも激しく影響されます。
(通常はアンカーボルトよりも、鋼製の床束や床下地の金物類の錆び、土台の腐りの方が重篤なことの方が多いです。)
金物、コンクリートなど、基礎工事でご心配な方はご相談ください
上記の回答はあくまでも一般論なので、環境や個別の状況により、状態や対処方法は異なります。
今回のケースでは現地も確認しておりませんので、あくまでも参考程度とお考えください。
基礎工事での金物やコンクリートの不具合については、たびたびご相談を受け、現地調査や見解書の作成、施工会社との調整・交渉業務を行っています。
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