今回は、長期修繕に関する費用についてお話ししたいと思います。
永く一つの家に住まわれる方にとって、家の修繕は避けては通れないものだと思います。この記事では長期という言葉の基準として20年程度を目安にしております。現在新築の住宅に住まわれていて今後住宅にかかる費用をお知りになりたい方、中古住宅の購入をご検討中の方、実際に中古住宅をご購入して住まわれている方にも参考にしていただけると思います。
費用については現在の相場金額で概算総額を算定しています。(具体的な数量等は未積算であり、材料価格も変動している場合があります。また工事費については材料のグレードや施工内容により増減があります。)各々の工事を単独とするか、まとめて一括とするかでも経費等が大きく異なるので、あくまでも以下は参考金額としてお考えください。
【必須工事】
①外壁と屋根の塗装
・年数(頻度):現在の築年数による、1度の工事につき耐用年数は10~20年程度
・方法:足場+高圧洗浄+塗装
・費用:約150~250万内外
②外壁コーキングの補修
・年数(頻度):外壁塗装と同じ頻度が望ましい、1度の工事につき耐用年数は10~20年程度
・方法:コーキング補修
・費用:約50万内外(足場別途)
③バルコニーの防水補修
・年数(頻度):外壁塗装と同じ頻度が望ましい、1度の工事につき耐用年数は10~20年程度
・方法:A.防水面の保護塗装
B.防水シート張替えの場合
・費用:Aの場合は約10~20万、Bの場合は約30万
【必要となる可能性が高い工事】
①基礎の補修・表面塗装
・年数(頻度):劣化状況によるが5~10年程度
・方法:ひび割れ補修+塗装
・費用:約20~50万(補修方法や仕上げ材による)
②設備機器(ボイラー・エアコン等)の交換
・年数(頻度):劣化や故障の状況によるが5~15年以内程度
・費用:機器や台数によるが、約10~40万/台程度
③照明器具、インターホン等の設備機器の交換
・年数(頻度):劣化や故障の状況によるが5~15年以内程度
・費用:機器や台数によるが、約2~10万/台程度
④畳の表替え
・年数(頻度):損耗状況によるが、通常は5~10年程度で表替え、20年で床交換
・費用:畳のグレードによるが、8,000~15,000円/帖程度が一般住宅の目安
【任意または必要に応じて必要となる工事】
① 住宅設備機器(キッチン、WC、浴室、洗面化粧台等)の交換
・年数(頻度):機器本体は10~15年程度は問題ないが、水栓や電気部分、稼働部分が先に劣化することが通常 で、これらの修繕とともに本体交換となることが多い。
・費用:機器のグレードによるが、WC交換 約10~50万、洗面台交換 約15~100万、キッチン交換 約40~300万、浴室交換 約80~300万 と幅がある。
② 内装(クロス張替え、木部の塗装、ビニル床材の張替え、フローリングの補修・張替え)の営繕
・年数(頻度):剥がれや脱落がなければ、美観上の問題が中心となる。
・費用:補修範囲や施工内容により工事費は異なるが、クロス張替えは約1,000~3,000/㎡、ビニル床材は約3,000~10,000/㎡が目安。フローリングは補修か張替えの違い、部材のグレードによって大きく異なるため、要見積もり。
【その他 ゲリラ豪雨に関連して】
①基礎立上りの水抜き穴
・不具合事象には該当しないものの、昨今の強雨(ゲリラ豪雨)時に地盤面の排水や雨水浸透が滞り、基礎の水抜き穴から逆流して床下に漏水が生じる事例が散見されています。設計地盤面と水抜き穴の高低差が確保されている場合には漏水は生じにくいですが、当該事故の事例も多いため参考として報告書で指摘することもあります。
地盤面の溢水などにより床下への漏水事故リスクが以前より高まっている場合、外構の施工時には「舗装面の範囲・材料・工法」「花壇や植栽などの盛り土」「雨水の浸透や排水経路の確保」「不要な水返しや水溜まりを生じさせにくい囲障」などに配慮した計画と施工を行うよう提言した事例もあります。
以上、参考程度となりますが、お役に立てたら幸いです。
具体的な検討内容があれば、お気軽にご相談ください。
菅野 武 Kanno Takeshi
一級建築士/既存住宅状況調査技術者/JSHI公認ホームインスペクター/AJIHA登録ハウスインスペクター/FLAT35適合証明技術者/建築物石綿含有建材調査者/古民家鑑定士/古材鑑定士/建築物環境衛生管理技術者/被災建築物被災度区分判定・復旧技術者/耐震診断技術者/耐震改修技術者/住宅省エネルギー技術者/防火対象物点検資格者/雨漏り診断士/防災士/ADR調停人候補者資格