住宅の2階にピアノは置けますか?
引っ越した先でピアノを置きたい、というご相談がありました。そのために、ピアノを置いてもよいかどうか、床の強度を調べることは可能でしょうか?と。
建物の詳細がわからなかったので、あくまでも一般的な内容とお断りしたうえで、次のようにお答えしました。
「床の強度」を調べることは可能ですか?
「強度」の定義にもよりますが、現状の建物全体の耐震性を判断する「耐震診断」や、その建物のそれぞれの部位がどれ位の重さや力を負担できるかを計算する「構造計算」などがあり、既存建物の場合でも、どちらも当社で対応することが可能です。
ただし劣化状況や、増改築の有無などによって診断結果、計算結果も異なりますし、設計図などの図面の有無によっても、現地での調査必要な範囲が異なるため、診断・計算についての費用は、かなり幅がでてきます。
※構造図面なしで構造計算をするには、全ての天井裏の目視確認や基礎の非破壊検査などが必要になる場合があります。
ピアノを2階に設置したいのですが、1階に置くべきですか?
床の積載荷重
一般的な住宅の設計では「床の積載荷重(その床に置く物の重量)」として「㎡あたり約180kgに耐えられる」ことが、建築基準法で定められています。
ただしこれは、床が破壊されない、という意味に近く、実際には床がたわんだり下がったりするのも、ある程度許容されている数値です。
架構の積載荷重
また、床の積載荷重とは別に「架構の積載荷重」という定義もあり、こちらは梁や柱の設計上、どの程度の重さを想定するか、の根拠にもなります。
こちらの数値は㎡あたり約130kgとなり、床荷重よりも小さくなっています。
※参考にこちらのHP(日本建築構造技術者協会)をご覧ください。
1.5~2畳に400kg程度の重量物を設置する、と仮定したら
畳一帖は約1.65㎡なので、2.4~3.3㎡に400kgの計算ですね。荷重としては、120~170kg/㎡が概算値と考えられます。設計上の床荷重としては上限ギリギリ、という感じでしょうか。
ただし、この程度の荷重があるのが最初からわかっている場合は、設計や施工時に、あらかじめ床の構造補強をしておくレベルの重さです。
ピアノ、大水槽、ウォーターベッド、金庫、書庫などの重量物を置くような場合ですね。
今回の仮定で考えると、床の強度は耐えられるとしても、床面に歪みやたわみが発生する可能性は極めて高いと思われます。
実際に設置するものや床下の構造が不明のため、詳細については、その都度検討が必要ですが。
個々のケースではなく一般的に考えると、ですが、1.5~2畳に400kgの重量物を置く場合、建物としての強度は「計算上」確保できていても、設置する床面については、床材や床下地材、直近の梁などの補強が「実用上」必要になるレベルかと(1階の場合も床材・床下地・束などの補強が必要なレベルかと)思います。
実際に検討するときには
既存の建物でも、梁や床面の補強工事は可能ですし、設置の状況によっては、建物全体ではなく必要箇所のみの計算でも判断は可能かと思います。そうすると、調査費用もかなり下がります。
設置のための補強工事等も含めて、ご検討される際はご相談にのりますので、お気軽にお問い合わせください。